pixiv関連の出来事についての雑感

大分前にpixivが小説投稿にpixiv内の画像を添付できるようにしたとき、私が怒っていたのを覚えている人はまずいないでしょうけど、あれは「そんなものはユーザー同士で融通し合えば良いんであって、pixivが手伝うようなことじゃない」ということで、機能としては画像を保有している方が画像使用を認証しないと小説側では表示されないようになっており、無断使用などは(アップロード自体を自分でしない限りは)起こらない仕組みになっています。

それでも怒った理由はといえば、イラスト投稿のSNSでイラストだけでなくテキストを媒体としてやり取りを行うこと自体に懐疑的だったからで、今でもそこら辺はあまり変わっていません。

これは突き詰めると利用者側の話にもなるので、「そういうのは自分の中で熟成させておけば良い」と、放置してありましたが、ついでなので経緯だけ説明させていただきました。

何のついでかといえば、pixivに関する騒動を見ていて思ったことをつらつらと書くことのついでです。というわけで、ここからが本題です。

最初に一番肝心なことだけ書いておくと、私はpixiv内の企画などにおける規約についての扱いが気になっていたので、現在の発表を見た所では、それでほぼ解決しています。

で、問題提議とか何やら色々あるとは思うんですが、そういうのは興味ある方ならもう嫌というほど読んでいるだろうし、気になったことだけ書かせてもらいます。

一番気になっているのが「pixivを去った後、その利用者が他のサービスに移るようなら、文句を言うだけの役立たずではないか」といった意見です。つまり、公益性に寄与する気が無く、ただ単に文句を言ってサービスを食い荒らすだけの連中じゃないか、ということですね。

これについては、半分正解、半分間違いといった印象が強いです。創作の場を守る、育てよう、というのは大変結構な考えでしょうし、実際、pixivのやってきたことは大したものだと思うんですね。あれだけの絵を一ヶ所で投稿したり見られたり、交流を持てる場所というのは、他に無いです。「いや、もっと素晴らしい絵や人物を見られる場所を知っている」というのはわかりますし、私も思い当たらないでもないですが、pixivに代替し得る場所かといえば、違います。

ニコニコ静画なんかは近いものがあるかもしれませんが、実際に利用していると、あそこはpixivよりも流れが速い印象があります。機能的にも、pixivには無いアクティブさを感じますが、作り手同士がこんがらがってるような、良い意味での臭さがあまりありません。

他にもお絵かき掲示板やtinamiやら色々ありますけど、一つ一つやっていたらきりがないので、各自で調べていただくとして、公益性についての話に戻ります。

半分間違いであるという理由ですが、pixivがサービスを提供するサイトである以上、そのユーザーに公益性を求めるのは、限度があると思うんですね。「pixivから変えたけどサーバーが弱いから困った、文句言うしかない」という人はそらいますけど、そういう方々は勝手に弱るんであって、その程度のことは、なにがしかのことであると思います。

まあ、どんな場所にも黎明期とそれからの時期があって、「気に入らない奴は出ていけ」といってみたり、あるいは「こうあるべきだ」という風潮が強くなる時期にpixivが当たっているのかもしれませんが、それをわざわざ言うことで、どんな意味があるのだろうか、と考えたとき、何だかもやっとしたものが残るんですね。

創作する側とそれを消費する側(あえて消費と書きます)が、常に一定の立場にいるわけではないのは当然のことで、それがpixivのようなSNSの強みのように私は受け取っています。そういう中で色々といざこざはあるにせよ、必要以上にユーザーを選別するような方法というのは、かえって場所があること自体を否定する向きになるのではないでしょうか。

私が危惧しているのが、「これで個人サイトやblogに人が戻って、検索系のサイトが強くなっていく」とか「pixivが弱って他が強くなる」といった、大した根拠もない楽観論です。私もそういうことを考えることはありますが、先に書いたように、pixivに代替するサービスは、他に無さそうなんですね。そもそもそうでなければ、ここまでの騒ぎにはなっていないんです。精々、ネトオチ系の取るに足らない騒ぎで終わっていたでしょう。

私が規約のことを気にしたのは、他のブログサービスやSNSで規約に関することで著作権などについて取沙汰されることがあり、それで興味が強いわけですが、そういう部分だけでおさまらない鬱憤、というか憤り、一方で期待みたいなものが、今回の騒動からは感じられます。

ここで注意したいのは、簡潔に「同人としての場だから」とかまとめてしまうのは、危ないだろうということです。

同人活動が創作活動でないとは言いませんが、同人活動が創作活動の全てではありません。私もこの記事を書いているとき何度か混同しそうになりましたが、そこに滞留してしまうと、常に消費する側にいる人がいる前提の創作についての思考が飛んでしまいます。これは同人にもかかる問題ですが、同人についての意識が強過ぎると、この向きは否定したくなりがちです。同人活動をしている方でpixivのやり方に根強い反感を抱いている方がいるのも、そういった向きがあるからではないでしょうか。私もその中に含まれないとは限りません。

pixivはpixivとして、冷静に事態を見守りながら、利用者として取捨選択すること、作品に関わる側として考え得ること、そういったものを大事にしていく方向で、これからいろいろな人と関わりたいものだと、そうした希望を込めて、拙文の終わりとさせていただきます。

コメント