同人はパソコンで変わったのだろうか?

私は高校時代、「アニメ研究部」という名前の部活に所属していました。要はオタクっぽいことなんでもな部です。それだと部活動として成立しないので、漫画を作ることで活動成果とする形にしていました。

私が一年生だった頃の先輩がたには漫画に熱心な方が揃っていて、あれこれと指導を受けて、色々と描いていました。「キャラを知るには目だ! 目を描くんだ! 5人の作家のキャラの目をそれぞれ100個描け!」とかいうわりとスパルタな方針でしたが、楽しんでやってました。コピー用紙に目ばかり描いてるのを友人に心配されたものです。

私が同人即売会というものを知ったのは、そんな部活に入ってしばらくしてからでした。最初の感想は「なんじゃそら?」です

なにせ、そもそも同人誌というものの存在を知りません。二次創作という概念自体が無い。個人で絵を描いて漫画を楽しむといったら「キャラを真似て描いて楽しむもの」「自分で漫画を一から作り出すもの」というごくごく一般的な認識しかありませんでした。

自慢にならないんですが、私は中学時代はアニメばっかり見ていて、今の子供さんからすると「同人」を知らないというのはちょっとありえない状態でした。でも、当時はそれが普通だったんです。

というのも、パソコンが無かったからですね。パソコンが無ければ同人・二次創作に触れる状況はかなり限定されます。っていうか、まず無理でした。たまたま同人即売会に足を運ぶ機会が無い限りは。

ちょうどその頃、私の地元でも小規模即売会が開催されていて、それに参加した際に私は即売会というものを初めて知ったんですね。ちなみにそのときは一つも自作本を手に取ってもらえなくて、先輩に隠れて悔し涙を流したのをよく覚えてます。私の原点です。

ここまで読んで疑問を持った方がいるかもしれませんが、この頃の私は基本的に漫画畑の人でした。小説を読むことはあっても、書いたことはありません。

それがバイトで貯めたお金で買ったパソコンによって、変わりました。パソコンがあれば色んな方に、一瞬で、色んな文書を公開できるんです。こんなエキサイティングなこと、日常生活ではまず味わえませんでした。そこから段々と文章を書く機会が増えて、現在に至っています。

ネットに接続できるパソコンの普及は、同人誌を手に入れる機会自体も作ってくれました。ショップ通販がそれですね。それ以前は容易に通販することすら不可能だったと言っても、ピンと来ない若い方は多いと思います。

「じゃあ、どうやって同人誌を買ってたの?」というと「買えなかった」んです。はい。買えませんでした。どんなに欲しくても、即売会に参加しないことには買えないんです。その即売会はどこでやってるの? 東京などの大都市だけ。バイトしていても、旅費なんて簡単に工面できません。いやあ、ほんと限られた世界だったわけですね。

作家さんにお手紙を出して郵便為替で通販……なんて方法もありましたが、そもそも作家さんのことを知る機会が無いわけで、とにかく手探りどころか目の前真っ暗ですよ。

先に挙げた小規模即売会も参加サークルが少なかったがためにすぐに無くなってしまって、私が高校生活で参加できた即売会は、部活として以外での参加を含めても片手の指で十分に足りてしまうんです。

それが今では、パソコンで大容量の二次創作動画が簡単に見られ、ショップ通販もちょちょいのちょい。しかも小規模即売会自体、巡礼ブームとかの恩恵もあって地方で開かれる始末。

しかしこうした状況の中でも、学生さんにとっての同人誌や即売会の価値って劇的には変わってないと思うんです。その頃に自由に使えるお金自体が増えるわけじゃないですからね。

今回こうした文書を書いたのは、今と違うことを書く一方で、今と変わらないことは何かを整理したくなったからです。私以外の方にとって、もしヒントになるようなことがあれば何よりです。

また思い立ったことがあれば書きたいと思いますが、今回はここまで。長文を読んでくださり、ありがとうございました。

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