『ファイアーエムブレム風花雪月』プレイ後の雑記

総評

結論だけ先に言えば、数ヶ月ぐらいかけてのんびりとシミュレーションゲームをしたい人ならとりあえず買っておいても十分に元が取れる内容です。

プレイ時間は一周当たり50時間前後。これが最低でも3、4周必要となるので、合計で150〜200時間を費やさないとストーリー全体を味わえません。

それだけの時間をかけるだけの価値がこのゲームにはあります。

システムとストーリー

ストーリーにだけ触れてもネタバレにしかならないので、システムと絡めて最低限の部分だけ触れます。

正直なところ、1周目は「なんだ、3Dキャラが会話するだけで演出もたいしたことないじゃないか」という感想でした。「今風のサクラ大戦」ぐらいの感想です。まあ、これについては最後まで基本は変わらないのですが、1周目を終えてある程度の満足感を得てから、とりあえず2周目をやり始めた辺りで、段々と感触が変わってきます。

キャラ同士の関係に影響する支援値が、ストーリーと育成、両方にちゃんと絡んでいるんです。当初はストーリー部分での要素ばかりが見えていたから淡白さが目立ったのですが、これに育成要素がちゃんと絡んでるのが実感できるのは、2周目以降だったんです。

というのもこのゲーム、クリアデータを引継いでプレイを始めると、以前に達成した支援値や技能値を名声値を使って解放することができるんですね。名声値は1周目だと単に聖人像という育成に便利な要素を解放するだけのものなんですが、これが2周目以降だと全く意味が変わってきます。

つまり、どんな風に主人公を育て、自分が担当する学級の生徒を育て、またスカウトをどういう計画で行なっていくか。これらの要素が一挙に目の前に現れます。

1周目は風花雪月の世界を味わうための第一歩に過ぎないとさえいえます。どのルートを選ぶにしろ、スカウトはたいした数をこなせないはずですし、育成計画だって手当たり次第になってしまうはず

それが2周目以降は自分の頭で試行錯誤しながらやり込める上に、攻略情報に頼らなくてもそれが可能という、絶妙なバランスになっています。難易度も選べますしね。

そんなわけで、よくある中だるみが起こりません。流石に3周目ぐらいになってくると話は変わってきますが……それでも目的意識を自分なりに持ってプレイできるので、箱庭としてよく出来ています。

欠点

ここからは私が感じたこの作品の欠点も挙げていきます。

マップの重複の多さとマップにおける演出の貧弱さ。この二点です。

大事なシーンではアニメーションが流れますし、テキストの良さもあいまって満足度は高い作品です。それにしてもファイアーエムブレムで感じたい、「ええ!? そんなところからマップが広がるの!」とか「そうか、このマップはこのマップと関係があるのか!」「ここにこんなイベントが!」といった関連性の驚き、演出がほとんどほぼありません。

フォドラ大陸の中で生きる人々をダイナミックに描く関係でわざとそういう形にしている、そういった面を含めて新しいゲームとして作り上げた、それらは素晴らしいと思うのですが、没個性化してる面は否定できません。

マップ中での短期的な目標が漠然としていて、モチベーションが上がらないんですよね。キャラに感情移入できていてもさすがにこれが長く続くのは結構辛いです。外伝やクエストでメリハリ自体は付いてるんですが、やはり全体としてのっぺりしています。

今作を踏まえた上でさらに練り込まれた作品が出てくる下地は十分にできていると思いますので、それを期待したいです。


各キャラクター

折角この手のゲームで評価の話をしてるので、各キャラの雑感ぐらいは触れたいと思います。といっても各ルートで特に印象に残ったものだけ。

帝国はもうフェルディナントだと思います。育成面ではあまり面白みのないキャラですが、ストーリーではエーデルガルトとは違う魅力をちゃんと備えていて、最終的に一番のお気に入りに。

王国は……このルートだけなんか妙に他のルートと空気が違うんですよね。「ファイエムって昔はこういうストーリーだったじゃん?」みたいなのを見せられてる感じなんですが、先生という部外者として味わうとちょっと置いてきぼりというか、じれったさの方が勝ってました。しいていうならドゥドゥーとアネットはよかったですね。

同盟編。このゲームの本筋ってこれなんじゃないかと思う内容。キャラクターも育成が楽しいです。ただどうも他のルートと比べてキャラごとの絡みが薄く、肝心のクロードも予想できる範囲での驚きしかないので、それは残念でした。

教団絡みについては重大なネタバレに触れざるを得なくなるので割愛。


その他

操作性は快適の一言。この手のキャラ重視のゲームだと不便なUIを押し付けられることも少なくないものですが、さすがにシリーズ作品だと洗練されてます。

音楽もアレンジが上手く利いており、それでいてじっくりとゲームをするときに邪魔にならない配慮がされていたように思います。


結び

以上、ざっとではありますが、今年出たSwitchソフトの中で鉄板を一つ挙げろと言われれば、間違いなくこれを推します。来年にかけてDLCの配信も控えていますし、今から買ってプレイし始めても十分に追いつけるはず。

年末年始に向けて何かゲームをやりたいなあ〜と漠然と思ってる人にはおすすめしたい作品です。

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